OpenAI GPT-4o段階的引退とGPT-5世代への移行ガイド

2026年2月中旬、OpenAIはGPT-4oモデルの段階的な引退を正式に発表しました。2024年5月のリリースから約2年、マルチモーダルAIの普及を牽引したGPT-4oは、後継のGPT-5シリーズにその役割を引き継ぐことになります。
この発表はAI業界における世代交代の加速を象徴するものであり、GPT-4oを業務に組み込んでいる企業にとっては計画的な移行対応が急務です。本記事では、移行スケジュールの詳細からAPI変更点、企業が取るべき具体的なアクションまで、包括的に解説します。
概要:GPT-4o引退の背景
なぜ今、GPT-4oを引退させるのか
GPT-4oは2024年5月にリリースされ、テキスト・画像・音声を統合的に処理するマルチモーダル機能で大きな注目を集めました。ChatGPTの無料ユーザーにも提供され、生成AIの一般普及に大きく貢献したモデルです。
しかし、2025年後半から2026年にかけてGPT-5シリーズが段階的にリリースされ、性能面で大幅な進化を遂げたことで、旧世代モデルの維持コストが課題となっていました。OpenAIは以下の理由からGPT-4oの引退を決断しています。
- 計算資源の最適化: GPT-4oとGPT-5シリーズの並行運用による計算資源の重複を解消
- 開発リソースの集中: 次世代モデルの改良と新機能開発にリソースを集約
- セキュリティ対応: 旧世代モデルの脆弱性対応を継続するよりも、最新アーキテクチャへの統合が合理的
- ユーザー体験の統一: モデル選択の複雑さを軽減し、最適な体験を標準提供
GPT-5シリーズの優位性
GPT-5シリーズはGPT-4oと比較して、推論性能が約40%向上し、特に複雑な論理的思考や数学的問題解決において顕著な改善を見せています。また、マルチモーダル処理の精度向上、コンテキストウィンドウの拡大、応答速度の改善など、あらゆる面でGPT-4oを上回る性能を実現しています。
詳細解説:移行スケジュールとAPI変更点
段階的引退のタイムライン
OpenAIが発表した引退スケジュールは以下の通りです。

フェーズ1:移行準備期間(2026年2月〜3月)
- GPT-4o APIは通常通り利用可能
- GPT-5シリーズへの移行支援プログラム開始
- 移行ドキュメントと互換性テストツールの提供
フェーズ2:段階的縮小期間(2026年4月〜6月)
- GPT-4oのレートリミット段階的引き下げ開始
- 新規APIキーでのGPT-4oアクセスを制限
- GPT-5シリーズの価格優遇プログラム適用
フェーズ3:最終移行期間(2026年7月〜8月)
- GPT-4oのレートリミットを大幅に制限
- 未移行ユーザーへの個別通知と移行支援
- ファインチューニングモデルの移行期限設定
フェーズ4:サービス終了(2026年9月)
- GPT-4o APIの完全停止
- 全トラフィックをGPT-5シリーズにルーティング
主要なAPI変更点
GPT-4oからGPT-5シリーズへの移行に伴い、API仕様にいくつかの重要な変更があります。
モデル名の変更
| GPT-4o系モデル | GPT-5系モデル(推奨移行先) |
|---|---|
| gpt-4o | gpt-5 |
| gpt-4o-mini | gpt-5-mini |
| gpt-4o-2024-11-20 | gpt-5-2026-01(最新安定版) |
レスポンス形式の変更点
usageオブジェクトにreasoning_tokensフィールドが追加choices[].messageにthinkingフィールドが新設(推論過程の可視化)- ストリーミングレスポンスのチャンク形式が最適化
非推奨となるパラメータ
functionsパラメータ(toolsパラメータに統一)function_callパラメータ(tool_choiceパラメータに統一)
価格変更
移行を促進するため、OpenAIはGPT-5シリーズの価格を改定しました。
| モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) |
|---|---|---|
| GPT-4o(現行) | $2.50 | $10.00 |
| GPT-5(移行後) | $3.00 | $12.00 |
| GPT-5-mini(移行後) | $0.30 | $1.20 |
GPT-5はGPT-4oと比較してやや価格が上昇しますが、性能向上分を考慮すると実質的なコストパフォーマンスは改善しています。特にGPT-5-miniはGPT-4o-miniと同等の価格帯で大幅な性能向上を実現しており、コスト重視のユースケースにおいて有力な選択肢となります。
企業への影響:移行ステップと実践ガイド
移行チェックリスト
企業がGPT-5シリーズへスムーズに移行するために、以下のステップを推奨します。

ステップ1:現状棚卸し(2月中に実施)
- 自社システムでGPT-4o APIを使用している箇所を特定
- 各利用箇所のモデルバージョン指定方法を確認
- ファインチューニングモデルの有無を把握
- 月間API使用量とコストを記録
ステップ2:互換性テスト(3月中に実施)
- テスト環境でGPT-5シリーズに切り替え
- 主要なユースケースの出力品質を検証
- レスポンスフォーマットの変更による影響を確認
- パフォーマンス(レイテンシ、スループット)を計測
ステップ3:プロンプト最適化(4月までに完了)
- GPT-4o向けに調整されたプロンプトをGPT-5シリーズ用に最適化
- システムプロンプトの見直し(GPT-5の推論能力向上に合わせた簡素化が可能)
- Few-shotサンプルの更新
- 出力形式指定の調整
ステップ4:段階的切り替え(5月〜6月)
- カナリアデプロイメントで本番トラフィックの一部をGPT-5に移行
- A/Bテストでユーザー体験の変化を検証
- 問題なければ段階的にGPT-5の比率を拡大
- モニタリング体制を強化し、異常検知時のロールバック手順を整備
ステップ5:完全移行(7月までに完了)
- 全トラフィックをGPT-5シリーズに切り替え
- GPT-4o関連の設定・コードを削除
- ドキュメントの更新
- コスト変動の最終確認
ファインチューニングモデルの移行
GPT-4oベースでファインチューニングを行っている企業は、特に注意が必要です。
- トレーニングデータの再利用: GPT-4oのファインチューニングデータはGPT-5でも使用可能ですが、再トレーニングが必要
- 性能の変化: ベースモデルの能力向上により、ファインチューニングの効果が変化する可能性
- 移行支援: OpenAIは大口顧客向けにファインチューニング移行専用のサポートチャネルを提供
日本企業への示唆
日本語処理性能の向上
GPT-5シリーズでは、日本語を含む多言語処理性能が大幅に改善されています。特に以下の点で向上が報告されています。
- 自然な敬語・ビジネス日本語: 文脈に応じた適切な敬語表現の生成精度が向上
- 専門用語の理解: 法律、医療、金融などの日本語専門用語への対応力が強化
- 長文の一貫性: 長い日本語文書の生成において、文体や論理の一貫性が改善
日本市場特有の課題
日本企業がGPT-5への移行を進める際、以下の点に留意する必要があります。
法規制対応
日本政府が進めるAI利活用推進方針や個人情報保護法との整合性を確認し、新モデルでのデータ処理が既存のコンプライアンス要件を満たすかを検証する必要があります。
SIer依存構造への対応
多くの日本企業ではシステムインテグレーター(SIer)を介してAI機能を導入しています。SIer側の移行対応スケジュールを早期に確認し、自社の移行計画と整合させることが重要です。
段階的導入文化との親和性
日本企業に多い慎重な段階的導入アプローチは、今回のOpenAIの段階的引退スケジュールと相性が良い面があります。2月〜3月の準備期間を有効活用し、十分な検証を行った上で移行に臨むことが可能です。
今後の展望
短期的予測(2026年内)
GPT-4oの引退は、AI業界全体のモデルライフサイクル短縮化を加速させる前例となるでしょう。Anthropic、Google、Metaなどの競合各社も同様に、旧世代モデルの引退と次世代モデルへの集約を進めると予想されます。
企業にとっては、特定のモデルに過度に依存しない「モデルアグノスティック」なアーキテクチャ設計の重要性がさらに高まります。抽象化レイヤーを設けてモデル切り替えを容易にする設計パターンが、今後のAIシステム開発における標準的なベストプラクティスとなるでしょう。
中期的展望(2027年に向けて)
GPT-5世代は、単なるテキスト生成を超えた「推論・計画・実行」能力を備えたAIエージェントの基盤として位置づけられています。企業は、現在のAPI呼び出し型の利用から、AIエージェントが自律的にタスクを遂行するワークフロー型の活用へと移行していくことが予想されます。
この流れにおいて、GPT-5シリーズへの早期移行は、単なるモデル更新にとどまらず、次世代のAI活用基盤を整備する戦略的な一歩となります。
AI COMMONでは、GPT-4oからGPT-5シリーズへの移行支援をはじめ、企業のAIシステム設計・実装をトータルでサポートしています。 モデル移行の計画策定、互換性テスト、プロンプト最適化、モデルアグノスティックなアーキテクチャ設計まで、お気軽にご相談ください。
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